前回ご紹介したラトゥ・アユの入魂の儀式。魂が入ったラトゥ・アユが舞う儀式が行われました。
このラトゥ・アユの舞にはストーリーがあります。今日は簡単にそれをご紹介したいと思います。
ラトゥ・アユ(バロン)は、シワ神のシンボルでもあります。魔女ランダ(ドゥルガ)に代わって
しまったシワ神の最愛の妻であるデウィ・ウマを探しにシワが下界に降りてしまい、それにより、
天界は混乱を来してしまいます。
シワ神を探すため、イスワラ神が下界に降りてきます。その場面がこのテレックの踊り。
そして更にブラフマ神も降りてきます。その場面がこのシーン。
シワ神は地上にいるデウィ・ウマを探し続けるも、まだ見つけることができません。
散々探した挙句にデウィ・ウマを見つけたのは墓場でした。
デウィ・ウマは墓場で瞑想中だったので、弟子のカリカはシワ神を追い返そうとします。
しかし、シワ神はカリカに従わず、最後にはデウィ・ウマとの再会を果たしました。そしてシワ神と
デウィ・ウマが再び結ばれた事によって、新しいエネルギーが生まれたことを最後のトランスが
シンボル的に表しています。
このラトゥ・アユの舞はシワ神とデウィ・ウマのラブストーリーとも言えますが、これを行うことに
よってネガティブなエネルギーを排除し、バランスを保つ意味合いがあるため、新しく魂を入れた
ばかりのラトゥ・アユで舞われました。一般的に日本のお盆や、善が悪に勝利した日と説明することが
多いガルンガンの日も、実はシワ神とデウィ・ウマが再会した日なのです。デウィ・ウマがなぜ天界から
下界へ降りてしまったのか、それはまた別の機会にご紹介させていただきますね。